荒木城 南西尾根の曲輪群を歩く

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荒木城縄張り図 三宅 勝・作図

山上部へと歩いてゆく

本稿より、荒木城の山上部の遺構を見ていきたい。

 

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写真位置①の郭

山上部への登山道は細工所砦背後の尾根筋に整備され、本丸までの所要時間を示す案内板が随所に立てられている。約15分ほど登山道を歩くと写真位置①の郭へと到達するが、途中の尾根筋にも削平地らしきものを見ることができる。いずれも郭の跡であろう。

 

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写真位置②の郭

後世に登山道をつけた際、郭の一部を欠損させてしまったのか中央部が凹んでいる。本丸方向へは北側の尾根を登ることになるが、さらに南西側の尾根筋にも郭群が展開しているので、まず、その郭群を見学してみたい。

南西尾根の腰郭群

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写真位置③の郭

南北に長く写真位置②の郭とは屈折した登り土塁状のものを往来のためのルートとして用いたようである。

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写真位置④の郭

写真位置③の郭とは高い切岸と小さな腰郭状の削平地で隔てられている。写真位置③の郭へは、東側に回り込んだ登ったと考えられる。

 

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写真位置⑤の堀切

堀底の西側は竪堀状に落とし込んであるが一方、東側は帯状の郭としている。堀切は塹壕として使用する意図があり、東側の帯状の郭は、上位の写真位置④の郭へのルートとして使用したのではないだろうか。

この南側にも小規模な腰郭が連続しているが、城郭遺構かの判断は難しい。

急峻な切岸につけられた道を登り本丸方向へと

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写真位置⑥の郭

南尾根の郭群を見学した後、北側の本丸方向へと歩いてみた。途中、細い馬の背状の尾根道を歩くと、高い切岸が目に入る。足元には歩きやすいように段差が付けられているが、本来のルートではないだろう。

登りきると写真位置⑥の郭に入るが、これより北が荒木城の中心部と考えられる。

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写真位置⑦の切岸

写真位置⑥の郭から北には、さらにもう一段、腰郭が造成されている。先の郭同様に、この写真位置⑦の切岸にも道が付けられているが、写真位置⑥から⑧までの本来のルートは不明である。切岸の角度は、さらに急峻となり上り難いためにロープが付けられている。

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写真位置⑧の郭

登りきったところが、この写真位置⑧の郭である。この先には切岸に屈折したルートを設けて本丸方向へと続いてゆく。

次項から、荒木城の中枢部である本丸へと向かってみたい。